【数学と哲学】黄金比は全てを美しくするか

本と生きる




【紹介する本】
黄金比は全てを美しくするか@マリオリヴィオ

黄金比はすべてを美しくするか? 最も謎めいた「比率」をめぐる数学物語 /マリオ・リヴィオ /

数学が嫌いではない人なら
誰でも楽しめる一冊だと思います。

様々な物理現象に潜む
黄金比の存在を中心に置きながら
この世界の嘘みたいな本当の話を
紹介してくれる本です。

僕が一番興味を持ったのは
数学と哲学の関係性についてでした

数学を拠り所にして
様々な現象に目を向けてみることで
今までとは違う視点が手に入ります。

数学と哲学

修正プラトン主義

“修正プラトン主義”
という考え方があります。

それは、
数学を”宇宙の共通言語”とする考え方です
それは地球からずっと遠い銀河が
対数螺旋曲線を描いている事実や
惑星の軌道が楕円の方程式で
表されることが例としてあげられます

すなわち、
そこに根ざす無理数である
1.16180339…
という暗号を宇宙に発信し続ければ
それを解読した生命体と
数学を通して
意思疎通ができるのだ
という考え方を言います

ここで出てくる
1.1618…という数字が
まさに黄金比です。

この値は、
巻貝の螺旋形状や
ウサギの繁殖法則や
偉大な絵画の技法や
ミクロな生物の形状に至る
様々なところに存在している
ミステリアスな数字です。

この数字は
図形や式を用いることで
簡潔に示すことができます。

 

ここで、
本書で紹介されている
ガリレオガリレイの言葉を
引用します。

哲学は、
我々の目の前に常に開かれているこの大いなる書物
すなわち宇宙に記されている。

だがそれは、まずその言語を把握し、
そこに書かれた文字が
読めるようにならない限り理解できない。

その書物は数学の言語で記され、
その文字は三角形や円などの幾何学図形であり
これらなくして人の力では
一言も理解することはできないのである。

例えばルート2の存在も
ガリレオガリレイの言う通りです。
等しい辺の長さが一の
直角二等辺三角形の
斜辺の長さがルート2です。

そもそも三角形というのが
図形という宇宙の言語です。
図形なしに、
ルート2の存在を把握できなかった
とも考えることができます。

そう考えると
図形や数字というのが
人間の言語を超えた以上に
多くの意味を含んでいるといえます

だからこそ、
多くの科学者が
数学に魅せられていくのです

他の捉え方について

数字は、
なぜ宇宙をこんなにも見事に説明するのか?
そして、とりわけ純粋な数学の産物にさえ、
物理現象に合致するものがあることなど
どうしてあり得るのであろうか

その答えは
進化論と自然選択(淘汰)にある
人間が地球にいながら観測できる現象と
人間が数字かすることができた現象で
一致するものが残っているにすぎない。
たまたま一致するモデルが
残っただけという考え方もできる。

そんな話も記されています。

数学や、天体も
図形を認知できる人間という生物も
全ては自然淘汰の上で生き残ったもので、
たまたま人間が考えられるものが
良いモデルとしてこの世に
ある数存在しているだけだ
ということです。

数学や物理現象さえも
淘汰されるという考え方は
なかなか面白いと思いました。

その他の興味深い話

ベンフォードの法則を
少しだけ紹介します

この法則は、
ランダムに選んだデータから数字を集めると
1203848や12342や19のような
1から始まる数字が全体の1/9を占める
(頭の数字は1〜9の9つの数字で成るので)
と、思いきや、
だいたい36〜38%の割合を示すことを
明らかにした法則です。

具体的な話は割愛しますが、
この法則は
本当に様々な規則性を持たない
母集団に適応できるといい

この法則を用いて
実際に粉飾決済を見破ったという
報告もあるらしいので
驚きです。

信じられない数字遊びのような現象が
この世には数多く存在しているので
数学というのは
中々に深い沼だと言えそうです。

最後に

この比例の特色(黄金比のこと)は、
よく似た比例が
次の”大きな部分”と”全体”の比から得られることにある。

前に大きな部分だったものが
今度は小さな部分になり、
前に全体だったものが
今度は大きな部分になる。

この二つの合計が全体になる
この関係は無限に続く。

大きな部分+小さな部分=全体
大きな部分:全体=小さな部分:大きな部分
ということ

これが、
黄金比を抽象的に
言語化した表現で
僕が気に入った言葉でもあります。

大きい部分だったものは
次の小さい部分になる。

そして、
かつて全体だったものは
次の大きな部分になる。

これは
今日の自分の全てだと言えるものが
明日の自分を構成する大きな部分になり
そして次の日には小さい部分になっていく
というように、
人の成長に当てはめても
なんとなくしっくりきそうです。

そう考えると
思っている以上に
数学と哲学の関係性に
頷けると思うのです。

機会があれば是非ご一読を

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