【大傑作】トヨトミの野望の魅力


トヨトミの野望 [ 梶山 三郎 ]

人生は小説よりも奇なりとは言いますが
実在した話と作り話を混ぜ込まれたら
もう成す術なくなります

実在した人物を
しかも今も生きている人をモチーフに
確かにあった事実になぞらえながら
スケールはペンに任せて大きく描く

フィクションと
ノンフィクションのいいトコ取りをしたような

傑作小説でした。

トヨトミの野望の魅力

人間味がすごい

売り上げ数兆円に登るような
大企業の役員の人事争いがメインに置かれます

言ってしまえば
僕たち一般ピープルからすれば
縁遠い世界です。

それなのに
すごく感情移入しながら
読み進めることができます。

なぜなら、
結局立場や規模が違えど
僕らと同じように人と人との関係に過ぎないからです。

人間心労が重なれば体調を崩すし
恥をかけば頭に血がのぼるし
目論見が外れれば冷や汗が出ます

たとえ住む世界の違う人間だろうが
同じような反応をして
同じように一喜一憂するのです。

その描写が秀逸で、
どんどん引き込まれていきます

経営者視点を学べる

この本に登場する人間のほとんどが
たくさんの部下を抱える経営者です

話の大筋は、
経営者の目線で語られていきます。

最初は規模感が違いすぎて
現実味がなく感じる瞬間もありましたが、
500Pに及ぶ大作を読み進めるにあたり
自分が登場人物の
まさに隣にいるような感覚になってきます。

経営をしたことも学んだこともない僕ですが、
恐慌や自然災害、
スキャンダルに品質問題など
いくつもの問題に直面して乗り越えていくその瞬間を
ともに歩んでいるような感覚になれます。

大企業の規模の大きさを知る

大企業と言っても
その実態を知る機会というのは
あまりないものです

会社の売り上げが下がることで
どれほどの影響度があるかとか
末端に居ては気づくことはできません。

この小説を読んでいくと
大企業が大企業と呼ばれている所以がわかってきます。

それは言い換えれば
世界への影響度だったり
雇用を創出するという義務であったりします。

会社という存在の大きさを肌で感じることができ
自分が仕事で成し遂げなければいけないことが
少しずつ見えてきます。

最後に

この本の主要人物に
武田という男がいます。

本書でなんども繰り返し説明がありますが
大左遷を食らって、僻地に7年いながらも
そこでの功績を買われ日本に再度引き抜かれ、
社長になった人物です。

7年塩漬けにされたのに
社長にまでのぼりつめた
奥田元社長の実話から来ていると思うと
ぞっとしますが、
それ以上に勇気をもらえます。

人の人生は環境で決まらないし、
出世路線だけが花道じゃないと
教えてくれます。

ちっぽけな職場で
何かと比べては
一喜一憂している
僕のしょうもなさに気付けました。

仕事に生きることのかっこよさ。
人を動かすほどの生き様とその魅力。

憧れてしまいます。

何ともロマンのつまった作品だなと思いました。

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