【1Q84 ③】希望と試練について考える

本と生きる




1Q84を読破するにあたり
数多くの登場人物の
生と死、苦悩と喜びを
感じることが出来ました。

自分自身も
毎日小さな課題に直面したり
些細な喜びに希望を見出したりしながら
一喜一憂しています。

小説という異世界の中で
極限的状況で求める希望や
超えなければいけない試練を
代理体験することで、
希望を持ち続けることの大事さと
試練は乗り越えなければいけないのだ
という使命感を感じることができます

希望と試練について考える

希望のあるところに必ず試練がある。
あんたの言う通りだよ。
そいつは確かだ。

ただし希望は数が少なく、
おおかた抽象的だが、
試練は嫌というほどあって、
おおかた具体的だ。

それも俺が身銭をきって
学んだことの一つだ

熾烈な人生経験があるタマルという人物から
非常に深い教訓が披露されます。

人の苦悩は冗談のように聞こえる場合もあるが
それぞれ違った、
非常にリアリスティックなものが
そこにはあるということです。

快楽というのはだいたいどれも似たようなものだが
苦痛には一つ一つ微妙な差異がある。

これもタマルが口にする言葉です。
終盤に発せられますが、
非常に深い言葉であり
序盤に発した上の言葉と
遠からない繋がりを感じます。

この二つの言葉を結び合わせると

苦痛を伴う試練というのは
具体的な形を伴って
嫌というほどたくさんあって
それぞれが微妙に違い

快楽につながる希望というものは
数が少なくて言葉で言い表すには抽象的で
そもそも本質は似ている

と解釈できます。

つまり、
人が求める幸福や幸せ
快楽や楽しさというものは
形は違えどほとんど同じであるということ

そして、
それを手に入れるために
人がそれぞれ超えていく試練というのは
人の数だけあって、それぞれ異なるのだ

と言えそうです。

 

この小説を読み進めるにあたり、
多くの登場人物の生涯や半生に触れます。

そして感じることは、
人生の中で幸福を感じる瞬間というのは
“自分が自分として生きて良いと思える時だ”
ということです。

いささか抽象的ですが、
引用句に従えば
“抽象的”で然るべきなのです。

一方で、
苦悩や苦痛は
人の数だけあります。

過去の遍歴と
その瞬間のアクシデントの組み合わせは
無限にあるからです

つまり、
苦痛や試練というのは
現実的でいつもそばにあるもので

希望は具体的に言い表せない
抽象的で掴みづらいものだ
ということなので、

人生は難しいのだ

そう言えるのではないかと思いました。

最後に

長編大作を読み切りました。
実に味わい深い本だったと言えます。

本編でのクライマックスは
BOOK3 600Pのうち
残りの50Pに満たないページ数の中で
描かれます。

苦悩的な部分を具体的に描いていることが
定量的にもわかります。

それほどに、
苦悩や試練を描く過程の部分は色濃く
面白みがあり大事なのだ

それを体現しているようだと思いました

 

読み終えた瞬間
「なるほどなー」
と心の中では呟いてみるものの
読み込み度はまだまだだなという印象です。

というのも、
一度で理解できない
意味深い描写がいくつも隠されており

また、
最後まで明かされなかった
“結局これは何だったのだろう”という内容も
いくつもあるからです。

繰り返し読みながら
引用句や挿入曲にも配慮し
じっくり楽しみたい小説だと思いました。

また、時間を作って精読したいと思います。

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